メカニック:ワールドミッション 20点

「メカニック:ワールドミッション」は「メカニック(2011年)」の続編である。前作は良い出来であったが、本作の脚本は壊滅的だ。

まぶしい太陽が降り注ぐ中、ビショップ(=ジェイソン・ステイサム)は埠頭に停められたボートハウスの中でレコードをかける。準備をしてボートに爆弾を仕掛け、埠頭を後にする。崖の上に作られた賑やかなオープンテラスのレストランへ入り、ビールを注文して飲み始める。するとラテン系の若い女がやってきて、ビショップの向かいの席に座る。女は、あなたが生きていたのはわかっていた、自分の雇い主のために3人の人物を殺せ、断ることは出来ない、と言う。レストランを見渡せば、あちらこちらに強面の男たちが座っていて、こちらに注意を払っている。次の瞬間、ビショップは携帯電話で女の写真を撮りながら、テーブルをひっくり返して女に押しつける。そして女や待機していた男たちと肉弾戦を繰り広げ、崖から飛び降りる。女が下を見るとそこにはロープウェイがある。女と男たちは急いで下におり、ロープウェイに乗り込む。彼らは屋根にビショップが乗っていることに気付き、女は屋根に這い上がろうとする。するとビショップは屋根から飛び出す。飛行中のパラグライダーの上に着地して、パラグライダーは遠くへ去って行く。

ネタバレなしの感想

今作は前作同様、アクションに優れている。全体に疾走感があり、特に、終盤はエンドロールまで一気に駆け抜けるから、視聴後がさわやかだ。また私にとってプールのネタは初めてで、とても新鮮だった。

しかしながら、本作は脚本に欠点が多すぎる。前作、そして今作でもそうなのだが、ビショップは非常に有能な暗殺者だ。それは肉体的に優れているということだけではなくて、頭脳も恐ろしく明晰で人並み外れているということだ。前作では、完全無欠のビショップなのに、そりゃあないだろう、と思うことがあった。しかし、それはたったの1回だったから、脚本の都合上仕方ないか、と許せたのである。それに対して今作では、一体何度、そりゃあないだろう、と思っただろう。いつも人を疑って抜け目のないはずのビショップだが、若く怪しげな美女が言うことはたちまち鵜呑みにする。そして美女がひどく気に入り、命をかけて守ろうとする。しかしこれをやってしまうなら、前作のビショップは一体何だったのか。ビショップは残酷だけれど、プロとして妥協がなく、それで作品が成立していたはずだ。その他にもおかしなところはたくさんある。大見得を切るが、約束を守らない。逃げる機会があるのに逃げず、みすみす敵に捕らえられる。都合の良いところにナイフが転がっている。敵を倒しても銃を奪わず、弾が切れて肉弾戦に切り替わる。それに、トミー・リーがハリウッドの大御所だからって遠慮することはないのだ。まして、最後のカンボジアの場面はなぜ挿入したのだろうか。

本作は前作の支持者を失望させるだろう。もし観にいくならば、アクションを楽しむほかない。

監督 デニス・ガンゼル  出演 ジェイソン・ステイサム、トミー・リー・ジョーンズ、ジェシカ・アルバ、ほか

1時間40分

スポンサーリンク
面白い映画のレクタングル(大)
面白い映画のレクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
面白い映画のレクタングル(大)