キング・オブ・エジプト 65点

予告編を見る限り誰も期待していなかったであろう「キング・オブ・エジプト」だが、それは意外にも、CGが上手く活用されたなかなかの娯楽作品である。

生命の神オシリス(=ブライアン・ブラウン)の下長い平和を享受する古代エジプトであったが、オシリスは息子である天空の神ホルス(=ニコライ・コスター=ワルドー)に王位を譲ることにする。一方、人間の盗人ベック(=ブレントン・スウェイツ)は、婚約者ザヤ(=コートニー・イートン)が結婚式で着るための衣裳を市場から盗み帰る。ザヤは熱心な神々の信者で、彼らはホルスの戴冠式へ共に出向くことを約束する。当日、熱狂するの民衆の前で順調に戴冠式は進行されるが、ホルスが王冠を戴こうとしたそのとき、群衆をかき分けて砂漠の神セト(=ジェラルド・バトラー)が現れる。セトは勇猛な羊から作った角笛をホルスに贈る。促されたホルスはさっそくその角笛を吹き鳴らすが、それを合図とし、セトの兵士たちが整列をなして神殿に侵入してくる。するとセトは自ら王になることを宣言し、オシリスに槍を渡して戦わせようとする。それを拒否しセトに歩み寄るオシリスであったが、抱擁しようとした瞬間、セトの短剣がオシリスの腹を突き刺す。

ネタバレなしの感想

本作は「ミュータント・タートルズ」や「X-MEN」に代表されるミュータント系アクション映画である。なかなかこの手の作品の評価は芳しくなく、観終わった後で何も残らないことも多い。そして本作においても、心動かす人間ドラマや、手に汗握るサスペンスなど、脚本の意味での高度な充実は見ることができない。また、本作では人間の描写までもが現実離れしている。例えば、中盤でザヤが倒れる場面などはあまりにあっさりしていて、本来ならばもう少し工夫すべきところだった。そういった場面からは、細かいことは抜きにして、アクションを楽しみましょうよ、という制作者の声が聞こえてくるようだ。

しかし、そういった欠点がありながらも、本作はミュータント系作品の中では屈指の出来といってよい。脚本に深みはないものの、それには所々工夫が見られ、それをやちゃあおしまいだよ、とか、またいつもの流れかよ、など、興ざめになりそうな事態はぎりぎりのところで回避している。またCGは取って付けたようなものではなく、話の流れに沿って効果的に使われた。そのため非現実的な映像は比較的自然に映り、そこに「X-MEN」のようなトンデモ感は感じられない。

本作は、純粋にきれいなアクションを楽しみたい方向けである。脚本はアクションを邪魔しない程度にはよく書かれているから、観にいったあなたを怒らせることはないだろう。

監督 アレックス・プロヤス  出演 ブレントン・スウェイツ、ニコライ・コスター=ワルドー、コートニー・イートン、ジェラルド・バトラーほか

2時間8分

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