急行「北極号」 30点

『急行「北極号」』は、物語に特段の工夫が見られない、期待はずれな作品である。

少年はクリスマス・イブの夜中、ベッドに横たわっていた。夜も更けたころ、蒸気が鳴る音と金属のきしむ音がして、見ると、家の前に汽車が止まっていた。少年が出てきた車掌に行き先をたずねると、それは北極点だという。そして、汽車は急行「北極号」といった。少年は車掌が差し出した手をつかみ、汽車に引っ張り上げられた。汽車の中は寝間着を着た子供たちで一杯だった。みんなでクリスマス・キャロルを歌ったり、キャンディーを食べたり、ココアを飲んだりした。窓の外には、遠くの街や村の明かりがまたたくのが見えた。「北極号」は北へ向けてひた走った。

本書はその導入部からしてあまりに安易である。しかし、汽車で楽しい旅をして、めでたしめでたし、ではつまらないから、最後に何か起こりそうな予感はする。子供たちを乗せた汽車はある場所へ到着して、ちょっとした歓迎を受ける。ただ、それは読者を満足させるような内容ではないし、結末は、作者のご都合主義が垣間見える、気の抜けたようなものだ。一方、夜の雪景色を描いた本書の絵はきれいだが、特筆すべきとまではいえないだろう。

非常に退屈な本書だが、もし興味があるならば、図書館で手に取ってみるとよい。

作 クリス・ヴァン・オールズバーグ  訳 村上春樹

文字数多い 簡単な漢字を除いてふりがな付き

1986年コールデコット賞

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