ちがうねん 90点

関西弁のセリフが面白い「ちがうねん」は、大人も笑える会心の一作である。

真っ暗な海の底で、帽子をかぶった小さな魚が、後ろを気にしながらどこかへ逃げる。この帽子は小さな魚のものではない。小さな魚が、眠っている大きな魚から取ったものだ。大きな魚はまだ寝ている。小さな魚も、大きな魚はまだ寝ている、と考えている。でも大きな魚は、何か違和感を感じて目を覚ます。小さな魚は、大きな魚が起きたとしても、帽子のことなんか気がつかない、と思っている。でも大きな魚は、頭の上にあった帽子がないことに気がつく。

本書は時間的に連続した一場面を描く作品で、各頁の文と絵はその前後の頁のそれらとなめらかにつながっている。また本書の文は全て小さな魚の心の声なのだが、頁によっては、そのときの大きな魚の様子が描かれていることもある。これらの手法により、私たちは連続した時間と空間の広がりを感じることができ、あたかも実際にその場面に出くわしたかのような気持ちになれるのだ。そして、どこからこういった話が出てきたのかと不思議に思うほど、本書の話は新しく、また上手くできている。関西弁も非常に効果的だ。もし標準語で訳されていたならば、本書は少し味気なくなっていたと思う。

本書はあらゆる面で完成度が高い。購入しても決して損はしないだろう。

作 ジョン・クラッセン  訳 長谷川義史

33頁 文字数少ない 全文字かな

2013年コールデコット賞

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