影ぼっこ 70点

一度読んだだけではなかなかその良さがわからないが、よくよく読み返してみると面白いことに気付く、「影ぼっこ」はそんな深い作品である。

本書はスイス出身の詩人ブレーズ・サンドラールの散文詩に作者が絵をつけてできたものであり、大人にとっても難しい内容だ。そのため、おそらく子供が読むと意味がわかりづらいだろうし、長々と続く影の描写が退屈に感じられるかもしれない。

本書の主題は「影(=shadow)」そのものではなく、「影ぼっこ(=Shadow)」である。これは木の影、これは犬の影、というように、私たちは直感的に影をひとつひとつ別々なもののように感じている。しかし本書の視点からすると、影は妖精である影ぼっこ1人の分身で、だから、独立して見える影も実はすべてつながっているのだ。

「影ぼっこ」の「ぼっこ」は「愛らしい幼子」という意味で、「うぶこ(=産子)」→「おぼこ」→「ぼっこ」と音が変化してできた言葉のようである。「Shadow」は神秘的で大きな力を持つけれど、決してなにかに危害を加えたりしないから、「影ぼっこ」の訳は成功しているかもしれない。

本書は子供が大人になるとより興味深く読めるから、本棚の片隅においてもよいと思われる。

詩 ブレーズ・サンドラール  絵 マーシャ・ブラウン  訳 尾上尚子

文字数普通

1983年コールデコット賞

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