「ジュマンジ」の筋書きは安易であるものの、美しい白黒の絵がその欠点を補っている。
ある日の夕方、幼い2人の子供、ピーターとジュディーは留守番をすることになる。彼らはしばらくおもちゃで遊んでいたが、やがて飽きてしまい、11月の公園へと出かけていく。すると木の根元に細長い箱が落ちているのを見つけるが、それには「ジュマンジ ジャングル探検ゲーム」と書かれていた。そこで箱を持ち帰り、さっそくそれで遊んでみようとする。しかし、そのゲームにはいろいろと注意書きがあった。
本書の話にはさほどの工夫が見られず、その発想はなんとなく取って付けたような感じが否めない。おまけにそれは全体的にあっさりしていて、そこに物語というほどの広がりは感じられない。
しかし一方、本書の白黒の絵は独特で美しい。それは不思議な話の雰囲気を十分に伝えているから、きっと柔軟な子供の想像力を刺激するに違いない。
ちなみに、本作の映画版で大人になった主人公を演じたロビン・ウィリアムズによると、「ジュマンジ」の意味は、ズールー語で「いくつもの効果」だそうだ。また、今年のクリスマスには映画版の続編が公開予定となっている。
もし本書を買うならば、絵を楽しむつもりで求めればよいであろう。
作 クリス・バン・オールスバーグ 訳 辺見まさなお
文字数多い
1982年コールデコット賞