君の名は。 90点

「君の名は。」は、その優れた演出によって、本年有数の傑作に仕上がった。

朝、10代とみられる少女(=上白石萌音)が目を覚ますが、少女はなぜか自分の体が女であるのが信じられない。どうやら高校生で、名を三葉(みつは)というらしい。制服に着替えると、彗星来訪のニュースを聞きながら夢見心地で朝食を食べはじめる。登校の場面に切り替わると正気にもどるが、周りの友人には、先日の三葉に記憶がなかったことを指摘される。授業中にノートを開くと、「お前は誰だ?」と大きな文字で書かれている。翌朝、三葉は見知らぬアパートの一室で目を覚ます。そして、三葉は自分の体が同年代の少年(=神木隆之介)のそれになっていることに気付く。少年は東京に住む瀧(たき)という高校生らしい。どうやら、彼らの心はときおり入れ替わっているようなのだ。

ネタバレなしの感想

誰かと誰かの心が入れ替わる。この手法は非常に古典的で使い古されており、昨今そんな映画の予告編を見せれば失笑を買うのが常である。そして、主人公達はなかなか会えそうで会えない。こういった映画も何度観ただろう。しかも、これらにドラえもん張りの裏技が加わるのだ。フィクションにありがちなご都合主義的展開も随所に見られる。

しかしこの作品は、ともすると安っぽくなりがちなこういった要素を、これ以上ないほど絶妙な加減で組合せることにより、全体として上手くまとめることに成功した。そしてさらに、この中の上程度の脚本は、現実感のある小道具や風景、畳み掛けるミュージカルのような台詞回し、また適所での音楽の使用などにより、効果的に演出された。

本作は脚本や独自性という点では物足りないけれど、優れた娯楽映画である。映画館で観ても決して損はない。

監督 新海誠  声 神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、ほか

1時間47分

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面白い映画のレクタングル(大)
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