映画 魔法使いプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン! 80点

「魔法使いプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」は、一切中だるみのない優れた参加型作品だ。

劇場で中学生以下の観客に配布されるミラクルライトの使い方について説明があり、その練習として、数分程度のCGアニメ「キュアミラクルとモフルンの魔法レッスン!」が上映される。それに続き本編がはじまる。

本編冒頭、みらい(=高橋李依)、リコ(=堀江由衣)、ことは(=早見沙織)は「キュアップ・ラパパ!」と唱えることで、それぞれ、キュアミラクル、キュアマジカル、キュアフェリーチェに変身できることが紹介される。

戦い終わった夕暮れ時、3人とクマのぬいぐるみ、モフルン(=齋藤彩夏)は高台に立っている。ことはは、遅くなっちゃった、帰らなきゃ、と言う。

そのとき空に星が流れる。それを見たことはが、流れ星に願い事をすると願いが叶うんだって、私、魔法の本が欲しい、と言うと、リコも賛同する。

すると、また空に流れ星が現れる。ことはは、魔法の本、魔法の本、魔法の本、と早口で繰り返し、リコも願いをかけるが、みらいは叶えてほしいことがなかなか見つからない。

流れ星はずっと消えずに残っているが、3人は、それが自分たちの方へ向かってくることに気付き、大慌てになる。そして流れ星が3人の手の中に収まると、それはモフルンの形をした結晶が先端に付いたライトに形を変える。

クマ?、と3人は不思議に思うが、それには魔法学校の校長(=内田夕夜)のあいさつが付いていた。校長は、それはミラクルライトといって、願いの石の復活を祝う大魔法フェスティバルに必要なものだ、と伝える。

願いの石は100年に1度復活し、最も大きく純粋な願いを一つだけ叶えてくれるといわれている。

フェスティバルの当日、3人は汽車に乗りながら心を躍らせ、バルーンの中に作られた会場へと向かう。

ネタバレなしの感想

本作の構成は素晴らしい。

まず、本編の前に観客参加型のCGアニメを入れたのがよかった。CGアニメはとても斬新で、その冒頭を観たときには、一体何がはじまったのかと思った。最初は原っぱの場面が続くが、そうかプリキュアってCGなのか、と思い始めた頃、話は急速に展開し、一気に最後の踊りまでつながる。この疾走感がすごい。また悪役は出てこないけれど、上手く観客の参加を促す仕組みになっている。楽しい音楽に乗せたキレのよい踊りには、ジャパネットたかたも驚くだろう。

ジェットコースターのようなCGアニメが終わると、いよいよ本編がはじまる。やはりプリキュアは2次元アニメであった。どうせだらだらした話なんだろうなあ、子供のアニメだし……と思い込んでいたが、実はそうではない。

本作は短い時間で物語を完結する必要もあってか、脚本に無駄がない。しかも、演劇とアクション両方の要素が入っているのだ。演劇に関してはわざとらしいところがないし、アクションにはキレがあり、ハリウッドのそれのようにだらだらと続くこともない。

また、最後の場面はよく考えてある。善対悪の単純な構図にしないながらも、戦う相手はきちんと用意し、アクションの見せ場を作った。さらに、そこから結末へと自然につながるのもよい。

ただ二つだけ気になったことがある。

まず、人的犠牲が全く出ないのは少しやり過ぎだと思う。子供向けとはいいながらも、現実性も追求したかった。

もうひとつ、エンディングの「魔法アラ・ドーモ!」はテレビ版と同じものだと思うが、これがもう少し慎重に選択されていれば本作の完成度はさらに高まった。アラ・ドーモ!は重厚な本作の最後を飾るには、あっさりとして淡泊だ。もう一度「正しい魔法の使い方」を流してもよかっただろう。

本作は子供が安心して観られる内容ながら、大人向けとしても高水準である。ぜひ映画館で鑑賞したい。

監督 田中裕太  声 高橋李依、堀江由衣、早見沙織、齋藤彩夏、ほか

1時間10分

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