四月は君の嘘 30点

「四月は君の嘘」は、漫画をそのまま実写化したような作品で、観る者の柔軟性が試される。

高校生の公生(=山﨑賢人)には幼なじみの学友、椿(=石井杏奈)がいる。ある日、椿は、同級生のかをりが亮太(=中川大志)に会いたがっているので、一緒に付き合ってほしい、と公生に提案する。当日、待ち合わせ場所の公園に一足先に到着した公生は、丘の上で子供たちと鍵盤ハーモニカを奏でる少女(=広瀬すず)を見つける。その風景を写真に納めようとしたとき、風が吹いて、少女のスカートが舞い上がりそうになる。すると彼らの目が合い、少女は声を上げながら丘を駆け下りてきて、公生に怒りをぶつける。そこに椿と亮太が到着し、この少女が級友のかをりであることがわかる。椿は、かをりの参加するヴァイオリンコンクールに4人で向かおう、と言い、気乗りのしない公生を連れて、会場へ向かう。

ネタバレなしの感想

本作は真剣な音楽映画ではない。かをりは演奏前に壇上でつぶやくし、他の出演者も演奏中勝手に話し出す。そして、後日行われる2次予選の際は、ろくに練習せず、時間ぎりぎりに自転車の2人乗りで会場に駆けつける。

最初は首をかしげながら観ている私たちだが、徐々に本作が何でもありな作品であることに気付く。しかも、「チャーリーズ・エンジェル」のように、かなり高度なものである。本作の原作は漫画であるから、無理に実写化するとこういうことが起こってしまうのかもしれない。だがここまで徹底していると、観ていくうちにかえってすがすがしい気持ちになってくるから不思議だ。しかし何でもありにすることの弊害もあって、それが本作では後半に効いてくる。急に真面目な話に切り替えても、私たちはもはやついていけないのだ。

本作に現実性を期待してはならない。もし気になるのなら、漫画を観るつもりで映画館へ向かうとよいだろう。

原作 新川直司『四月は君の嘘』  監督 新城毅彦  出演 広瀬すず、山﨑賢人、石井杏奈、中川大志、他

2時間2分

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