超高速!参勤交代 リターンズ 60点

「超高速!参勤交代 リターンズ」は、超短期間内の参勤を命ぜられた湯長谷藩の行方を描く「超高速!参勤交代」の続編である。第2作ということで若干の心配はあったが、本作は前作に遜色ない出来映えとなった。

磐城の小藩、湯長谷藩が超短期間での参勤に成功した1月後、将軍徳川吉宗(=市川猿之助)は日光社参のため大行列を引き連れ江戸を立つ。一方、松平信祝(=陣内孝則)は湯長谷藩に金山隠しの濡れ衣を着せた失態により蟄居に処されていたが、日光社参の恩赦によりその刑を解かれる。すると信祝はさっそく隠密たちを雇い、一揆に見せかけて湯長谷を襲わせる。そのころ、藩主内藤政醇(=佐々木蔵之介)率いる湯長谷藩の一行は、未だ祝賀気分が抜けず、湯長谷へ交代の途上にあった。しかしある夜、彼らが宴会を開いていたところに、湯長谷で一揆が起こったとの伝達が入る。そこで彼らは藩を救うため、一路夜道を走り出す。

ネタバレなしの感想

本作には不真面目で緊張感に欠ける場面がある。例えば、湯長谷藩の一行を死体に見せかけて関所を通過するところなど、政醇は死体を演じているにもかかわらず、自身の動きをさほど隠そうとしない。娯楽要素は大切であり、死体に見せかけること自体は面白いのだが、さすがに死体が動いても役人が気付かないとなれば興ざめしてしまう。また、後半でお咲き(=深田恭子)が政醇に自分への気持ちを聞きただす場面があるのだが、それも戦いの最中、あまりにも緊張感に欠ける。そしてこれは前作同様であるが、おのおのの戦はことごとく政醇一行に都合よく進んでしまう。

本作は終盤にやや失速するものの、中盤までの出来は前作を凌ぐほどで、全体的にいってもかなりよい出来だったといえる。特に成功していたのが、政醇一行の比較的緩い場面に、江戸で役人が絡む緊張感のある場面を上手く織り交ぜて描いたことだ。人物でいえば、特に江戸南町奉行の大岡忠相(=古田新太)はよかった。本作のところどころにちりばめられた楽しい冗談も、前作のそれに劣るものではない。

本作はリターンズだけれども、前作を知らなくとも理解できるよう一定の配慮はされている。また、時代劇に縁がない人でも本作を楽しめると思う。

原作 土橋章宏『超高速!参勤交代 リターンズ』  監督 本木克英  出演 佐々木蔵之介、深田恭子、伊原剛志、ほか

1時間59分

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