「ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years」は主に1963年から1966年までのビートルズの活動を追った記録映画である。
1962年、ビートルズはドラム担当のピート・ベストがリンゴに代えられ、レコードを初出版する。しかしこのあたりの事情は本作では描かれず、それは1963年に彼らが一大旋風を巻き起こすところからはじまる。続いて、彼らの若き日の苦労や興行人、ブライアン・エプスタインの果たした役割などが簡単に紹介される。本作は巡業、録音、記者会見などの当時の映像、あるいは新聞記事や視聴者の体験談などを元に構成されており、何かを分析しようという趣旨では作られていない。それでも、1966年の活動休止に至る経緯はある程度理解できるようになっていて、そこが本作の終着点である。
ビートルズに詳しい人が本作に満足できるかどうかはわからないが、本作を初心者が観るといろいろな発見が出来る。例えば、私はビートルズは似たような能力の4人で出来ているのかと思っていたが、公演を見る限り、どうやらポールが圧倒的な歌唱力とリズム感で全体を引っ張っているようだ。また、公演では舞台の前方にリンゴ以外の3人が立って歌うのだが、マイクは2本しかない。そうするといずれか1本を2人で使うことになるが、これは一緒に歌っている感じを演出して効果的だ。ちなみに、本作は1969年のルーフ・トップ・コンサートで締めくくられるが、その際マイクは1人1本になっている。
本作は過去の映像が上手くまとめられており、演奏の場面が主体で説教臭くないところも好感が持てる。なお、映画館では本作の後におまけとして1965年にニューヨークのシェイ・スタジアムで行われた公演の様子を観ることが出来る。
監督 ロン・ハワード 出演 ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、ほか
1時間49分(本編)+31分(公演)