劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊 55点

「劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊」は、2016年2月からテレビ朝日系列で放送中の「動物戦隊ジュウオウジャー」とその前年に放送された「手裏剣戦隊ニンニンジャー」の共演作品である。ドラマはごく簡単なものだが、戦闘シーンは長く見応えたっぷりだ。ちなみに、本作を理解するのにテレビ版の知識は必要ない。

煙に包まれた体育館で、ヒーローたちが倒れている。それを見た忍者装束の子供(=石川樹)は、ジュウオウジャーとニンニンジャーが全滅した、スーパー戦隊の歴史が終わっちゃった、とつぶやく。

ジュウオウジャーの6人は山にキャンプをしにきた。セラ(=柳美稀)、レオ(=南羽翔平)、タスク(=渡邉剣)、アム(=立石晴香)の5人は、水遊びをしてはしゃいでいる。風切大和(=中尾暢樹)は河原でテントを張りながら、まずはキャンプの準備をしよう、と5人に呼びかける。

それを聞いた5人はようやく河原に集まり、これから合流する予定になっている門藤操(=國島直希)についてうわさをする。

そのころ、操は手作り弁当を持ってジュウオウジャーの元へ向かっていた。しかし後ろから走ってきた忍者装束の子供にぶつけられた勢いで、弁当の中身が地べたに散乱する。操は、これでは自分がキャンプに参加する資格がない、と言ってひどく落ち込む。

一方、キャンプの用意をしていたジュウオウジャーは敵の気配を察知する。どうやらデスガリアンではなさそうだ。そこへ手裏剣が飛んできて、ジュウオウジャーの足下に突き刺さる。彼らが驚いていると、森の中からニンニンジャーの6人、伊賀崎天晴(=西川俊介)、加藤・クラウド・八雲(=松本岳)、松尾凪(=中村嘉惟人)、伊賀崎風花(=矢野優花)、百地霞(=山谷花純)、が現れる。ジュウオウジャーはニンニンジャーの攻撃に戸惑いつつも、変身して応戦するのだった。

ネタバレなしの感想

私は数十年ぶりに戦隊ものを観たが、当時とは少々様子が変わっていていた。

まず、出演者が20歳前後と若く美男美女揃いである。彼らが横一列に並んだ姿は壮観で、あまりの見栄えの良さに思わず感心した。しかし彼らは選ばれた人たちなのだ。決して世の中がイケメンであふれているわけではない。私は上映中、そう何度も自分に言い聞かせた。

女性が1人増えて主要な隊員が6名となったのも時代の流れだろうか。隊員の半数が女性になるのも時間の問題かもしれない。

だがそういった基本的な設定に比べれば、戦闘シーンに大きな変化はなかったと思う。CGや火薬の量が幾分増えた程度か。ヒーローたちが空中で1回転して飛び出していくところなどは懐かしく感じられた。

ジュウオウジャーとニンニンジャーが戦いを続けるうち、ジュウオウイーグルとアカニンジャーは集団からはぐれてしまう。そして公園の近くで取っ組み合いをしていると、忍者装束の少年が現れる。少年の名は伊賀崎快晴で、伊賀崎天晴の将来の息子だという。快晴はジュウオウジャーとニンニンジャーが共倒れになった歴史を変えるため、忍術を使って未来からやってきたのだ。

本作の後半で見られる伊賀崎家親子3代の変身には驚いた。彼らの距離の近さも今時だろうか。

本作はまとまりの良い作品だが、ドラマと戦闘の割合がやや偏っていた。1時間のうち40分は打ち合っていた印象だ。子供たちは戦闘を目当てに映画館に行くのかもしれないが、戦いの場面が多すぎてはありがたみも薄れるだろう。本作の物語は筋が通っているけれど、あまりに短すぎて戦うための口実のように映った。ヒーローへの変身で高揚感を味あわせるためにも、ドラマにもう少し厚みがほしいところだ。なお、これはあくまでバランスの話であり、戦闘シーンの重要性を否定するものではない。

ヒーローの中に入っている人はスーツアクターと呼ばれ、その道の専門家である。その昔は顔出しの出演者がヒーローの中身まで務めたらしいが、今では分業が進んだ。また女性のスーツアクターも活躍しており、ジュウオウジャーやニンニンジャーの女性ヒーローは女性スーツアクターが担当している。

参考→ http://sentai-hero-netabare.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01

最後の戦闘場面は、あいにくの曇り空だった。よく考えてみると、多くの出演者の予定を合わせるのは一苦労に違いない。今日は雨だから撮影中止、ということもあっただろうか。

エンドクレジッツは短すぎる。歌と隊員たちの踊りは面白いのだが、始まってから終わるまでがあっという間だ。終了後に会場のどこからか、これで終わり?、と尋ねる子供の声も聞こえたから、私だけの思い込みではないと思う。

私が本作を観たのは初日の午前中だった。子供連れの客だけでなく、単独で訪れた年配客の姿も多く見られた。しかし、本作中に歴代のレッド38人が出演する、という噂は本当だが、それはほんの一瞬のことであり、あくまでも飾り程度だ。また変身した姿のレッドが並ぶのであって、過去の出演者が顔を出すわけではない。本作はあくまでもジュウオウジャーとニンニンジャーの映画である。

本作は大人にとってはやや物足りないが、ジュウオウジャーやニンニンジャー好きの子供ならば十分楽しめる。週末に安心して観にいける一作だ。

監督 竹本昇  出演 中尾暢樹、柳美稀、南羽翔平、渡邉剣、立石晴香、國島直希、西川俊介)、松本岳、中村嘉惟人、矢野優花、山谷花純、多和田秀弥、矢柴俊博、村上幸平、石川樹、寺島進、嶋大輔、ほか

1時間2分

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