ジェイソン・ボーン 35点

「ジェイソン・ボーン」は、「ボーン・アイデンティティー」、「ボーン・スプレマシー」、「ボーン・アルティメイタム」に続く、シリーズ第4作である。本作は出がらしのネタで作られた無理のある作品で、過去3作に大きく劣る。なお、本作を理解するために「ボーン・レガシー」を観ている必要はない。

CIAを敵視していたジェイソン(=マット・デーモン)だったが、過去の自分が自発的にトレッド・ストーン計画に参加したという事実を知ったことにより、進むべき道を見失う。その後、CIAに追われながら根無し草のように世界を転々とし、拳闘で日銭を稼ぐ生活を送る。一方、ニッキー(=ジュリア・スタイルズ)は、アイスランド、レイキャビクの一角にある、巨大な倉庫の門を叩く。中から出てきた人物に予約を入れた旨を伝えると、招き入れられる。そこには多くのサーバーが置かれていて、各国語が飛び交っている。その一番奥に座り、コンピュータを立ち上げると、CIAのサーバーにハッキングする。CIAはすぐにハッキングされたことに気付き、ハッキング元の特定を急ぐ。ニッキーが先へ進んでいくと、いくつかのファイルが縦に並んでおり、一番下のファイルには”treadstone”と書かれている。それをクリックして調べると、”Richard Webb”の個人情報が表示される。次いで、”David Webb”の個人情報が現れるが、そこにはジェイソンの顔写真が貼られている。それを確認したニッキーは、USBへファイル一式のダウンロードを開始する。そのころCIAはハッキング元を突き止め、倉庫全体の電源を落とす。倉庫の人々は戸惑い、1人の男がニッキーに話しかけようとすると、ニッキーは男に銃を向ける。そして使っていたコンピュータに油をまき、火を付けると、奥の扉から外へ出る。

ネタバレなしの感想

本作は、前半はそこそこ良く出来ており、特に、前半のアクションは前3作品のそれに引けを取らない。しかし、アテネの最終場面でハリウッドおきまりの展開が起こり、このあたりから雲行きが怪しくなる。続くベルリンの場面は無難にまとめた。しかし、その最後、ロサンゼルス行きを誓ったところを観た際には、先行きが非常に心配になった。残念なことにこの不安は的中してしまい、ロサンゼルスでの場面はシリーズ史上最悪の出来となる。

本作は全体的に出がらし感が強い。前作の最後でジェイソンはCIAと争う理由をなくしたのだが、今作でも基本的にその状態は継続している。そんな中ジェイソンを戦わせようとすれば、当然無理が生じる。ジェイソンはなぜ自分がCIAと戦っているのかよくわからないし、観客もわからない。一応、戦うためのそれらしき理由は与えるのだが、これは主材料としては非常に弱く、また以前にも聞いたような話だから、意外性もない。また、時折挟み込まれるCIAの様子にも新鮮さがなく、ネタ切れ感が漂う。

さらに、本作では脚本家のご都合主義も目に付く。例えば、ある場面で白いバンが見られるが、このことが、まさかそんなことないよね、の、まさかにつながってしまう。また本作後半では、不自然な形でカーチェイスが発生する。そこに至った原因はあるにはあるのだが、それは些細なことだ。むしろ、今までの行動からすれば、逃げずに立ち向かっていくはずではないか。

本作はおきまりの警報音で終わるが、それはいつもより弱々しく聞こえた。しかし、本作は他のアクション映画に比べれば悪くないから、もし時間があれば観にいってもよいかもしれない。

監督 ポール・グリーングラス  出演 マット・デーモン、トミー・リー・ジョーンズ、アリシア・ビカンダー、バンサン・カッセル、ジュリア・スタイルズ、ほか

2時間3分

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