真田十勇士 40点

大変難しい題材を扱った「真田十勇士」であるが、それはぎりぎり鑑賞可能な作品に仕上がった。

紀州九度山の村で立てこもり人質事件が起こる。犯人(=中村勘九郎)はすばしっこく、村人の手には負えない。そこに幸村(=加藤雅也)が現れ交渉へ向かう。名を名乗り、名刀村正を見せると、犯人はうろたえる。名は猿飛佐助といった。幸村は、世間が勝手に自分を持ち上げているだけであって、自分は平凡な男にすぎない、と言う。佐助に人質を解放させ、自分が代わりに人質となる。自分を切れ、と言う幸村に対し、望み通りにしてやろう、と言い返す佐助だが、幸村は依然として自虐的な言葉を繰り返す。そんな幸村を気に入った佐助は、幸村を本物の英雄に仕立て上げようと企む。

ネタバレなしの感想

本作は、音楽も含め、少し控えめな日本版「X-MEN」である。CGはあまり積極的に使われていないが、十勇士とその関係者のほとんどはミュータントのように超人的な力を発揮する。しかし彼らはあまりにも強すぎるため、命をかけているはずの戦の場面にさほど緊張感が感じられない。本作は戦闘やそれに備える場面がほとんどであり、物語にさほど時間は割かれないから、脚本に着目して観る人にはやや退屈だ。予告編で受ける印象とは裏腹に、本作は比較的硬めの作品である。その所々で冗談が見られるものの、これらは質、量、共に控えめだから、大爆笑とはいかないし、作品全体を愉快な雰囲気で包むこともない。

一方、十勇士とその関係者は反則的に強いのだが、一応、何でもありではない。また戦闘場面の描写は的確で、それがわざとらしく感じられることはなかった。一騎当千の十勇士の戦闘を描くにあたっては、本作はかなり善戦したといってよい。

本作は十勇士に興味がない一般の人にはお薦めできないが、彼らの支持者ならばきっと楽しめるだろう。

監督 堤 幸彦  出演 加藤雅也、中村勘九郎、松坂桃李、大島優子、ほか

2時間15分

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