スター・トレック BEYOND 40点

「スター・トレック BEYOND」は、「スター・トレック」、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」に続くシリーズ第3弾である。本作は第1作よりはずっと良いが、第2作には遠く及ばない。なお、本作を観るのに前2作品の知識はさほど必要ない。

カーク(=クリス・パイン)は密閉された暗い円形闘技場のような施設の舞台上にいる。フィボナ星人からの最大級の贈り物だ、とティーナクス星人に言って、灰色の塊を見せる。どうして奴らはそれがいらなくなった?、とティーナクス星人の代表が尋ねる。カークは、これは古代の武器の一部で、平和の象徴としてフィボナ星人が差し出したものだ、フィボナ星人の文化では武器を差し出すのは心からの提案の証だ、と答える。代表は、奴らはそれをどこで手に入れた?、と尋ねる。カークが、フィボナ星人が言うに、これは大昔に手に入れたもので、と説明しようとすると、奴らは盗んだんだ!、と代表は声を荒げる。そして、あの盗人め、我々を食べる気だ!、と代表が叫ぶと、あちらこちらから小型犬ほどの大きさのティーナクス星人が飛び出してきて、カークに襲いかかる。

カークは慌てて、スコッティ、転送してくれ、と無線で連絡する。ティーナクス星人に噛みつかれたカークは、転送はまだか、とせかし、ようやく姿が消える。

そして、服はぼろぼろになり、2人のティーナクス星人に噛みつかれた状態で、宇宙船に現れる。

ネタバレなしの感想

本作は「猿の惑星」のような作品だ。

序盤、USSエンタープライズは謎の飛行集団に襲われ、惑星アルタミドに墜落する。

ここで通常ならば、宇宙服が必要になるところだ。しかしそんなことを言っているとアクションにならないから、アルタミドは地球のように扱われる。

またそこには敵も味方もいるのだが、彼らはいずれも英語が堪能であり、家で勉強した、と言い訳する者までいる。彼らの流暢な発音を聞くと、私が中学から培った英語は一体何なのか、と落胆せずにはいられない。

本作の脚本はCGやアクションを見せることに特化して書かれており、深い内容ではない。

ただ強いて言えば、冒頭で粗末に扱われていた灰色の塊、アブロナスが中盤から急に重用されはじめるのは面白い。大抵の映画において、鍵を握る物質は初めから仰々しく扱われがちだ。

本作中で唯一ドラマらしいのは、クラール(=イドリス・エルバ)が連邦を恨むに至った経緯を説明するくだりだろう。しかしこういったネタは使い古されており、脚本家が本気で書いたとは思えない。本作はCGやアクションを見せるための映画だから、脚本の細かい部分にはこだわらなかったようだ。

後半、大音量でビースティ・ボーイズの「サボタージュ」を流すところに至っては、ノリでやってしまったのだろうか。また乗り捨てられた宇宙船内で流れているパブリック・エナミーの「Fight the Power」を聞くと、「ドゥ・ザ・ライト・シング」で映されるブルックリンの様子が思い出されて、少しおかしかった。

本作のCGは臨場感があって見事だけれど、アクションに関しては違和感のあるものが目立つ。ハリウッド映画ではありがちだが、どうしてあんなにごつい宇宙人をか弱い地球人らが素手で倒せるのだろうか。USSエンタープライズが襲われる衝撃的な映像を見せられているから、なおさらそう感じてしまう。

また、リポビタンDの宣伝を3回も入れる必要はなかった。1回でもわざとらしいのだ。

後半でカークとクラールが対峙するところなどは、その設定からしても、いささか都合が良すぎると言わざるを得ない。

本作はCG意外の点で少し物足りないものの、全体としてそこそこの出来である。前2作品の支持者ならば、安心して観にいけるだろう。

監督 ジャスティン・リン  出演 クリス・パイン、ザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、カール・アーバン、アントン・イェルチン、ジョン・チョウ、ほか

2時間2分

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