今回は「真骨頂(しんこっちょう)」について調べていきます。意味や使い方はもちろん大切ですが、「真骨頂」はどのような経緯で現在の形になったのでしょうか。語源の由来も探ります。
意味
そのものの本来の姿、本当の値打ち。(『新明解語源辞典』、『日本語源広辞典』)
使い方、例文
「真骨頂を発揮する」(『広辞苑 第五版』)
「これが、散文の精神であり、小説の真骨頂である」(『新明解語源辞典』引く所の『日本文化私観(坂口安吾)』)
語源
「真」は強め。「こっちょう(骨頂)」は、『大言海』によれば、「骨張(ほねば)るの字の音読」である。この「ほねばる」は「意地を張る」というような意味で、「骨張」はここから「張本(=大もと)」の意味に転じたという。この「張本」から「本来の姿」と転じたものか。
「骨頂」の例は鎌倉時代初期の日記『玉葉』に見られ、「真骨頂」は昭和17年の『日本文化私観(坂口安吾)』においてすでに使われている(上記の「使い方、用例」に既述)。(以上『新明解語源辞典』)
なお『広辞苑 第五版』には、「骨頂」の説明が次のように載っている。
一節に「骨張(ほねばり)」の音読に由来。また、「張」は当て字。
①意地を張ること。強く主張すること。例は鎌倉時代の『東鑑(第34巻)』。
②事件を企てた中心人物。張本人。例は鎌倉時代の『源平盛衰記(第4巻)』。
③この上ないこと。最上。第一。例は江戸時代の『浄、生玉心中』。
『全訳古語辞典 第三版(旺文社)』や『例解古語辞典 第三版(三省堂)』にも同様の解説がある。
まとめ
『日本語源広辞典』における「真骨頂」の項はあまりにもあっさりと書かれているため、「真骨頂」の語源は実質的には『新明解語源辞典』にしか載っていません。
今では「骨頂」という言葉を単独で使うことはあまりないと思いますが、「骨頂」もかつては独立した単語だったようで、『広辞苑 第五版』や古語辞典に取り上げられています。
「真骨頂」は、古語としての「骨頂」の意味が少し変化して、頭に「真」がくっついたもの、と言えそうです。
今回は以下の本を参考にしました。
調べた語源関連書籍 | 掲載の有無 |
日本語源大辞典(小学館) | × |
[増補版]日本語源広辞典(ミネルヴァ書房) | ○ |
語源海(東京書籍) | × |
語源大辞典(東京堂出版) | × |
新明解語源辞典(三省堂) | ○ |
暮らしのことば新語源辞典(講談社) | × |
決まり文句語源辞典(東京堂出版) | × |
日本語語源辞典 第2版(学研) | × |
語源を楽しむ(KKベストセラーズ) | × |
身近なことばの語源辞典(小学館) | × |
常識として知っておきたい日本語(幻冬舎) | × |
オツな日本語(日本文芸社) | × |
ことばの由来(岩波書店) | × |
日本語語源の楽しみ[一](グラフ社) | × |
正しいのはどっち?語源の日本語帳(永岡書店) | × |
答えられそうで答えられない語源(二見書房) | × |
日本語の「語源」ものしり辞典(大和出版) | × |
この日本語の語源を知っていますか?(河出書房新社) | × |
そうだったのか!語源の謎(河出書房新社) | × |
この言葉の語源を言えますか?(河出書房新社) | × |
猫ばばの謎(河出書房新社) | × |
[語源]の謎にこだわる本(雄鶏社) | × |
日本語謎解き事典〈慣用句編〉(KKベストセラーズ) | × |
語源 面白すぎる雑学知識(青春出版社) | × |
語源 面白すぎる雑学知識 Part2(青春出版社) | × |
語源 面白すぎる雑学知識 Part3(青春出版社) | × |
語源 面白すぎる雑学知識 Part4(青春出版社) | × |
知っ得 衣食住のことば語源辞典(日本漢字能力検定協会) | × |
「真骨頂」はかなり難しい言葉のようで、2つの辞典にしか載っていませんでした。