バックルさんとめいけんグロリア 65点

風船ガムのような色合いが鮮やかな「バックルさんとめいけんグロリア」は、意外にも安定感のある友情物語である。

警察官のバックルは、事故を起こさないための短い注意書き、安全メモを作るのが得意だ。メモの注意をきいてもらうため、バックルはときどき小学校へ安全教室をしに出かけていく。舞台の上で一生懸命メモを読むが、子供たちは彼の教室に飽きており、きちんと話を聞いている者はいない。そんなある日、警察にグロリアという名前の警察犬がやってきて、バックルはグロリアを安全教室に連れて行くことにする。

物語は古典的なものだが、バックルとグロリアは文と絵の両面から魅力的に描かれていて、それが本書を成功させている。また、絵の中に手紙やメモが豊富に登場するから、それらを拾い読みするのも楽しい。

本書を読む際、私たちは自分をバックルやグロリアに重ねずに、もっと客観的に見ることもできる。子供は、大人は完璧、つまり、大人は何でも知っているし、すねたり傷ついたりしない、と思いがちだ。でも本書を読めば、彼らも大人の人間らしさを感じてくれるかもしれない。

本書は大人用としては少し力不足だが、子供の教育には貢献するであろう。ぜひ図書館で借りて読んでみたい。

作 ペギー・ラスマン  訳 ひがしはるみ

文字数普通

1996年コールデコット賞

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