エイモスさんが かぜを ひくと 65点

筋書きにさほどの工夫は見られないものの、「エイモスさんが かぜを ひくと」は、美しい版画の絵が特徴の、画集のような絵本である。

高齢男性エイモスの朝は早い。エイモスは制服に着替えて、朝食を食べ、ゆっくりと家を出発する。途中バスに乗って、動物園で降りる。そこで働いていてとても忙しいけれど、時間を見つけては動物たちのところへ出かけてゆく。しかし、ある日風邪を引いてしまい、仕方なく仕事を休むことにする。

動物たちとの心温まる交流を描く物語は毎度おなじみのものだが、本書の主役は版画で描かれた美しい絵である。それは病気になった人を励ますような、黄を主体とした明るい色調で描かれている。また、動物たちの輪郭には版画らしいゴツゴツ感があり、手作りの温かみも感じられる。

本書は読み応えのある物語や新しい発想を求める人にとっては少し物足りないかもしれないが、見る絵本として楽しむことができる。図書館で借りて読んでみたい。

文 フィリップ・C・ステッド  絵 エリン・E・ステッド  訳 青山南

32頁 文字数少ない

2011年コールデコット賞

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