眠れない孫への愛情に満ちた「あすは きっと」であるが、教育上多くのことは望めない。
夜、眠れない子供に本書は語りかける。今は夜だね、他の子供たちは今頃ベッドの中だよ、みんな寝る時間だよ、一度眠って目を覚ませば、希望に満ちた明日がはじまるからね、あんなこともできるし、こんなこともできる、明日は何から何まで今日よりよくなるよ。
本書は作者が2歳の孫のために書いた、祖母目線の本だ。その文から、作者がいかに孫を愛しているかがひしひしと伝わってくる。温かみのある絵も愛情あふれる文をいっそう引き立たせている。
しかし子供を寝かせるためとはいえ、何から何まで明日はよくなるのよ、この世界は本当にいい場所よ、みんなあなたのことを愛しているのよ、と吹き込むことは、子供の教育上よくない。人生は厳しいものだ。小さな子供だって他の子供や動物をいじめてしまったり、逆にいじめられることもある。大人になるともっと大変かもしれない。だから親は、教育を通じて少しでも子供に成長して欲しい、と願う。絵本が必ずしも教育に貢献する必要はないが、少なくとも、積極的に子供を騙すようなことは避けなくてはならない。
かわいらしい絵の本書であるが、もし気になるならば、図書館で借りて大人が読めばよいだろう。
文 ドリス・シュワーリン 絵 カレン・ガンダーシーマー 訳 木島 始
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