よるのいえ 85点

「よるのいえ」は独特な詩と目の錯覚を利用して、絵本の中に読者を連れ込む。

少女は鍵を渡される。その鍵を使って、共に帰宅した家族のために家の扉を開けてやる。時はまもなく夜で、家には明かりがともっている。少女は扉の開いた自分の部屋の前に来て、壁に鍵をぶら下げる。明かりはベッドを照らしている。ベッドの上には本がある。着替えた少女はその本を読みはじめる。本の中では鳥が飛ぶ。

本書の文は詩でできているのだが、それは読者を催眠にかけるような、何ともいえない不思議なものである。「とりは ほんのなか、 ほんは べっどのうえ、」と以前読んだ文に類似のものが繰り返されると、「いや、もうわかってるから!」と思って笑ってしまう。しかし、さらに同じ調子で文が続と、何ともいえない不思議な味わいが生まれる。

本書の絵にはそれ以上の工夫がなされている。黒、白、黄を効果的使って上手く闇の中の光を描き、絵が立体的に見えるようにしているのだ。これまた何とも不思議な絵で、見ていると自分が夜の世界に入り込んだ気分になる。

本書は理屈っぽくなく、視覚的に楽しめる作品である。購入しても損はない1冊だ。

文 スーザン・マリー・スワンソン  絵 ベス・クロムス  訳 谷川俊太郎

40頁 文字数少ない 全文字かな

2009年コールデコット賞

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